情報リテラシー向上委員会

SNSの情報、本当に信じても大丈夫?「拡散」の仕組みを知って賢く利用する方法

Tags: SNS, 情報リテラシー, 批判的思考, デマ, フェイクニュース

SNSの情報、どのように受け止めていますか?

インターネットやスマートフォンが身近になり、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を利用する方も増えていますね。X(旧Twitter)やFacebook、Instagram、LINEなど、さまざまなSNSを通じて、友人や家族と連絡を取ったり、趣味の情報を見つけたりと、日々の生活がより豊かになったと感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

一方で、SNSにはニュースやお得な情報だけでなく、時には根拠のあいまいな話や、誰かが作り出した間違った情報(デマやフェイクニュースと呼ばれることもあります)も流れてくることがあります。しかも、そういった情報があっという間にたくさんの人に広まっていくのを見て、「何を信じたらいいのか分からない」「不安になる」「もしかして、自分も間違った情報を広めてしまっているのでは?」と感じた経験はありませんか?

この情報過多な時代に、SNSの情報をどのように受け止め、どう活用していけば良いのか、一緒に考えていきましょう。大切なのは、流れてくる情報をすぐに信じたり、誰かに教えたりする前に、少し立ち止まって考えてみることです。

SNSで情報が「拡散」する仕組みとは?

なぜ、SNSでは情報がそんなに早く広がるのでしょうか。その秘密は、SNSが持っている「拡散」のための機能にあります。

例えば、X(旧Twitter)には「リポスト(以前はリツイートと呼ばれていました)」という機能があります。誰かの投稿を「リポスト」すると、その投稿があなたのフォロワー(あなたをフォローしている人たち)のタイムラインに表示されるようになります。さらに、そのフォロワーがまた「リポスト」すれば、さらに多くの人に情報が伝わっていきます。

Facebookでは「シェア」、LINEでは「シェア」やメッセージの「転送」機能などが似た働きをします。また、「いいね」や「高評価」といった、投稿に対する反応も、その情報が多くの人に見られていることの目安となり、さらに注目を集めるきっかけになることがあります。

このように、SNSの機能を使うことで、一つの情報がまるで波紋のように、あっという間に多くの人へと伝えられていくのです。これは便利な反面、もしその情報が間違っていたり、誰かを傷つけたりするような内容だった場合、その間違った情報や悪意のある情報まで一緒に広めてしまうことにつながります。

なぜ、誤った情報も広がりやすいのでしょうか?

残念ながら、SNSでは正確な情報だけでなく、誤った情報も驚くほどの速さで広まることがあります。これにはいくつかの理由が考えられます。

SNSの情報、鵜呑みにせず立ち止まるための具体的なヒント

では、SNSで流れてくる情報に対して、私たちはどのように向き合えば良いのでしょうか。すぐに「いいね」や「シェア」をする前に、一度立ち止まって考えるための具体的なヒントをいくつかご紹介します。

  1. 情報源を確認してみましょう

    • その情報は、誰が発信していますか? 個人ですか? 会社ですか? 公的な機関ですか?
    • もし個人が発信している情報なら、その人はその分野の専門家ですか?
    • 公式アカウント(例えば、企業の公式SNSなど、マークが付いていることが多いです)からの情報ですか?
    • ニュースサイトやメディアからの情報のようでも、それが本当にそのメディアの公式アカウントか確認しましたか? なりすましアカウントの可能性もあります。
  2. 他の情報源と比べてみましょう

    • その情報は、他の信頼できるメディア(例えば、よく知られた新聞社のウェブサイト、テレビのニュース番組、通信社のサイトなど)でも同じように報じられていますか?
    • もし、ごく一部のSNSアカウントや、普段聞いたことのないようなウェブサイトだけで報じられている情報であれば、注意が必要です。
  3. 日付を確認してみましょう

    • 古い情報が、まるで最近起きたことのように改めて拡散されることがあります。投稿された日付や、記事の日付をよく確認しましょう。
  4. あなたの感情に問いかけてみましょう

    • その情報を見て、あなたは強い怒りや不安、悲しみを感じましたか? 強い感情を抱かせる情報は、意図的に人の心を動かし、深く考えさせないように作られていることがあります。感情的になっているときこそ、一呼吸置いて冷静になることが大切です。
  5. 「公式」「確認済み」「絶対に正しい」といった言葉に注意

    • 一見すると信頼できそうな言葉が使われていても、それが情報の真偽を保証するものではありません。「公式情報です!」「すでに確認済みです!」といった強い言葉は、むしろ怪しむ視点も持ってみましょう。
  6. 怪しいリンクや添付ファイルは開かない

    • SNSの投稿に含まれるリンクが、一見関係ないような内容のウェブサイトや、個人情報を抜き取ろうとする詐欺サイトにつながっていることがあります。また、添付ファイルを開くとウイルスに感染する危険もあります。少しでも怪しいと感じたら、クリックしないようにしましょう。

これらのヒントは、すべてを一度に実行する必要はありません。まずは一つか二つから試してみてはいかがでしょうか。例えば、「SNSで気になったニュースは、一度テレビのニュースでも確認してみる」といったことだけでも、情報の真偽を見極める大きな助けになります。

もし、間違った情報を拡散してしまったら?

誰でもうっかり間違った情報を信じてしまったり、シェアしてしまったりすることはあります。もし、自分が拡散した情報が間違っていたと気づいたら、どうすれば良いでしょうか。

大切なのは、間違いに気づいたことを正直に認め、訂正することです。自分が投稿した内容を削除したり、訂正する投稿を改めて行ったりして、情報を受け取った人たちに正確な情報を伝えましょう。間違いを素直に認めることは、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、誠実な対応は信頼につながります。

おわりに:SNSを賢く、そして安心して使うために

SNSは、私たちの生活に多くの便利さや楽しみをもたらしてくれます。しかし、たくさんの情報が行き交う場所だからこそ、少し立ち止まって考える「批判的思考」の視点を持つことが大切になります。

今日ご紹介したような、情報源を確認する、他の情報と比べる、感情的にならないようにするなど、ほんの少しの工夫で、流れてくる情報の真偽を見極める力が養われていきます。すぐにできることばかりですので、ぜひご自身のペースで試してみてください。

情報に振り回されるのではなく、情報を上手に活用して、より安心して、心地よくSNSを利用していきましょう。